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西か東か

8月3日の朝にいったい何が起こったのか?

前回の日記の最後をえらく気になる感じにしてしまったんでもう結論から先に言っちゃいますと、 身ぐるみを剥がされました。

水も食料もテントもカメラもパスポートも。
黒く長い鉄の棒を不気味に光らせた羊飼いの男にバックパックごと全て持っていかれました。

まさかカザフを抜けた後にこんな仕打ちを受けるとは思ってもいませんでした。

カザフじゃハッタリひとつで運良くなんとかなってきたし、ロシアはなんだかんだいったって安全な国。 田舎で若い女性が軽く出歩いていることを見るとそれだけでロシアが安全なことはよくわかります。カザフの田舎で若い女性の姿を見ることはなかったから。


全てを失ったぼくはとにかく現場から離れようとヒッチハイク、そのまま警察署へ。
ちなみにこの警察署、現場から60kmも離れてます。

悪名高いロシア警官に徒歩旅行を邪魔されることこそ予想できたけど、まさかこっちから助けを求めにいくことになるとは。
人間の予測できることなんてほんまにたかが知れてますね。未来ってすごい。


で警察署に飛び込んだんですけど、このカルミク人警官たちがじつに素敵な人たち。

全てを紛失した哀れな日本人を温かく迎え入れてくれて、やれピロシキを食えだのやれジュースを飲めだの大歓迎。

「ヒロシ、心配するな、おまえの荷物は必ず取り返してやるからな、犯人はもちろん、、こうだ」と言って首をかっきる仕草をした警官。
めっちゃカッコ良かったです、鳥肌が立ちました。

今にして思えば警官のこのセリフを聞いた時に、朝から続いていた緊張状態からようやく解放されたんやと思います。本当に救われました。



そしてすぐさま警官二人とともに現場に急行。


すると、なぜかすでに犯人は別のパトカーで捕らえられていました。バックパックも無事。

じつにあっけない。

別のパトカーの警官たちと握手をして犯人の逮捕を感謝。

バックパックの中身を確認して、犯人である羊飼いの方を見やるとロシア警官たちを前にして小さくなっていました。

まずぼくのパスポートを奪い、拳を振り上げ鉄の棒を振り上げてぼくを草原へ引きづりこもうとした恐怖の羊飼いはすでにもう全くの別人で、完全に小羊状態。

いつのまにか飼う側から飼われる側になっていました。なんやねん、こいつ。

犯人をパトカーに乗せ、再び警察署へ。



取り調べが始まりました。


ぼくは取り調べの行われる部屋の隣にある別室で待機。
警官がたまにぼくを呼びにきて、その度に犯人を前にしてどんな風に襲われたのかを細かくぼくに説明させました。

基本的にぼくは何もない部屋で待機してるだけなんですけど、隣から漏れ聞こえる警官たちの怒号や犯人の悲鳴は隣の部屋で何が行われているのかを察するには十分。
めっちゃかっこいいセリフでぼくを励ました優しい警官も一度ぼくの待つ部屋にやってきて、部屋にころがっていた角材を拾い再び隣の部屋に戻っていきました。

まあ、どうやらそうゆうことが行われていました。


あ、ここでこの警察署への不満をひとつだけ言わせてください。

取り調べが終わったあともぼくは別室で数時間待機させられてたんですけど、犯人は牢に入れられてる様子もなくけっこう自由に署内をうろうろしてました。
これはなんとかしてほしいです。

おかげでトイレで犯人と並んで一緒に用を足す羽目になりました。
お互い無言で目も合わせなかったんですけど、加害者と被害者が並んでトイレをするのは滑稽すぎます。
びびってしまって出るもんも出なくなります。勘弁してください。



やがて待機していた数時間の後、警官が再びやってきて「ヒロシ!|エリスタへ行くぞ!!」と突然そう言いました。
エリスタは現場から145km西にあるカルミキア共和国の首都。

事件の手続き上の関係で大都市エリスタに向かうのだろうとそう思い、バックパックを背負って付いていくと「エリスタまでは車で行きなさい、それから先を歩けばいい」と警官。
手続き上の理由ではなくってぼくを安全に旅行させるための彼らの判断のようでした。

「歩きたいなあ」とぼくがそう呟いた声が彼らの耳には聞こえていたのか聞こえていなかったのか。
彼らは何も言いませんでした。

ぼくもとくに意地を張ろうとは思わなくって、素直に彼らの指示に従うことにしました。


そして国道まで警官とともに向かい、国道で警官によるヒッチハイク。
彼らの権力は絶大で彼らが手をかざせば、次々と車が止まります。

3分も立たぬうちにエリスタへ向かう車が見つかり、運転手に日本人を乗せてエリスタへ行くことを約束させた警官は「気をつけて旅行するんだぞ」とそう言って帰っていったのでした。


と、ここまでが8月3日の出来事。






そしてぼくはまだエリスタに居ます。
もうかれこれ一週間ほどこの街に居ます。

歩けなかった145kmのことをうじうじと考えています。

素直にあきらめて西に向かうのか
危険をおかして東に戻るのか

東に戻りたいけどあの羊飼いと再会してしまう可能性があります。

あきらめて西に向かうのが正しい判断なのはわかってるんですけど、どうもあきらめがつかないでいます。


ぼくはいつも意地になってしまって正しい判断を見失い、危険をかえりみずに突っ込んでいってしまいます。達成感に固執しすぎてしまいます。これはぼくの悪癖でこれはほんとになんとかしないといつかぼくは死にます。

身ぐるみ剥がされて一週間も立たないうちに現場に戻りたがる行為は正気の沙汰ではないです。
あきらめるのが正しい。それはよくわかっているつもりです。





ただ、


じつはぼく、めちゃめちゃ不恰好ではあるけどここまで1年半日本からずっと歩いて旅行をしてきました。

毎日車から掛けられる「お金はいいから乗りなさい」という声を断りつづけられたのは「日本からずっと歩いてるのに今さら車なんか」という思いで、「あほか、車乗るくらいやったら飛行機乗って日本帰るわ」といった気持ちからです。

空白の145kmができた今、今後も聞こえてくるであろう「車に乗れ」の声を断る自信がありません。どんなモチベーションでポルトガルを目指せばいいのかまったくわかりません。


これから西に行けばいいのか、東に戻ればいいのか



今日も頭を悩ませてます。

宿代は高いし、ロシアビザ期限も迫ってます。いつまでもこの街に居るわけにはいきません。


どうしよか




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<写真>
羊飼いとの遭遇、一時間前。

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<写真>
カルミキア共和国の首都エリスタ。

2008.08.09 (Sat) 00:56
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